カリン

カリンの果実 カリン酒
カリンの果実 カリン酒
中国原産で平安時代に渡来したとされる落葉性高木で、庭園にも栽培される。高さは8mにもなる。樹皮は灰緑褐色で滑らか、鱗状にはげ落ち、その跡が雲母状に残っている。若い枝は白い軟毛を密生するが、後に脱落して無毛となり、紫黒色となる。葉は互生して柄があり、倒卵形や倒卵状楕円形で縁には細かい鋸歯があり、下部の縁には腺がある。葉の表面は無毛で光沢があり、裏面は中肋に沿って軟毛がある。托葉は長楕円形で細く早い時期に脱落する。4~5月、枝先に短い柄のある淡紅色の5弁花を新芽とともに1個ずつ開く。萼は倒円錐形で5裂して無毛。裂片は卵状披針形で反り返って巻き、内側にラシャ状の毛がある。花弁は円形や楕円形で短い爪がある。雄しべは約20本で花弁よりも短い。花柱は5本。花後に長さ10~15cmで円形か楕円形の梨のような果実(梨果)を結ぶ。果実は黄色く熟して芳香がある。
利用部位と 採取時期 果実(9~10月)
薬効 喘息、鎮咳、風邪、去痰、疲労回復
作り方 生の果実 果実600~700gをよく水洗いして水気を拭き取り、輪切りにして砂糖200~300gとともに35度のホワイトリカー1.8Lに漬け込む。2~3ヶ月後から飲用できる。熟成には6ヶ月以上置く。 中身はそのままか、1年後に引き上げる。美しい淡黄色、適度の酸味と渋味のある酒に仕上がる。漬け込みの時、レモンや蜂蜜少量を加えてもよい。レモンを加えると酸味が増す。果実は一般的に黄色がかったものを使う。緑色で熟さない果実は熱湯に入れると、表面に蜜がにじみ出てくる。香りの出尽くした果実は中身がすかすかのスポンジ状になり、使えない。
干した 果実 輪切りにして日光干しした果実200~250gを砂糖200~300gとともに35度のホワイトリカー1.8Lに漬け込む。2~3ヶ月後から飲用できる。熟成には6ヶ月以上置く。
メモ 果肉は硬くて酸味が強く生食できないが、輪切りにして砂糖を加えて煎じると咳止め、利尿薬となる。