ナツハゼ

ナツハゼの花 ナツハゼの果実
ナツハゼの花 ナツハゼの果実
山地や丘陵地の日当たりのよい酸性土に生える落葉性低木。高さは1~3mになる。幹は叢生して盛んに枝分かれする。若い枝には小さい毛が生えているが、古くなると落ちてしまい、黒紫色となる。互生する葉は卵状長楕円形や卵状楕円形で先端はとがり、基部は円形かくさび形で短い柄がある。葉の縁と両面に粗い毛がある。5~6月、その年に伸びた枝先に水平に総状花序を出し、黄色を帯びた赤褐色で短い柄のあるスズランの花に似た鐘状の小花を数多く下向きにつける。花柄のつけ根には披針形の苞葉がある。萼は浅く5裂し、裂片は三角形。花冠は筒状で先端はやはり浅く5裂する。雄しべは10本、雌しべは1本。花後に球形の果実(液果)を斜め下向きに結び、列になって並ぶ。秋になると黒く熟し、表面に白い粉がついている。液果の下面には萼跡が大きく残る。熟した果実は食べると酸っぱい。
利用部位と 採取時期 果実(9~10月)
薬効 疲労回復、不眠症、冷え性
作り方 600gの果実をよく水洗いして水気を切り、砂糖150~200gとともに35度のホワイトリカー1.8Lに漬け込む。1ヶ月後から飲用できる。熟成には3ヶ月以上置く。中身は入れたままか、1年後に引き上げる。濃いブドウ色で酸味と特有の香りのある酒に仕上がる。
メモ 「ヤロッコハヂマキ」という面白い方言名で呼ばれるが、これは果実にある丸い萼跡の状態が、いかにも子どもが鉢巻きをしている様に見えるのでつけられた。ナツハゼの語源は「ハゼノキ(ウルシ科)のように鮮やかな緑色が夏の葉に見られる」というのが一般的。また、シシャンボ(ツツジ科)とよく似ているが、夏にしか葉がないのでナツハゼと呼ぶという説もある。