ヤマグワ

ヤマグワの花 ヤマグワの果実
ヤマグワの花 ヤマグワの果実
浅い山や丘陵に生える落葉性高木で高さ10mにもなる。雌雄異株、時に同株。幹は直立し、上部で枝分かれする。若い枝にはほとんど毛がなく、樹皮は灰褐色で縦筋がある。葉は互生して柄があり、通常は卵形だが、時に片側に深く切れ込むなど変化が多い。葉先はとがり、縁には鋸歯がある。表面に細かい粒状点があってざらつく。葉の基部から3本の主脈がある。4~5月、新枝の下部から柄のある穂状花序を垂らし、淡黄色の小さな裸花を多数つける。花後に宿存萼が肥大してクワゴ(痩果)となり、白から赤、最後は黒く熟す。黒熟したものは食べると甘い。養蚕用として畑にも栽培され、ヤマグワ×クワ、ヤマグワ×ロソウなど多数の品種もある。クワゴを食べると唇が紫色に染まる。それはクワゴが酸性には赤く、アルカリ性には青く反応するからである。
利用部位と 採取時期 果実(7月)  根皮、枝皮(いずれも秋~春)
薬効 滋養、強壮、低血圧症、不眠症、利尿、鎮咳、動脈硬化予防
作り方 果実 完熟前の果実500~600gをよく水洗いして水気を切り、砂糖200gとともに35度のホワイトリカー1.8Lに漬け込む。1ヶ月後、中身を引き上げ、漉して飲用する。果実の熟した程度によってピンクからブドウ酒色、紫色の酒となる。
果実と枝 完熟前の果実500gをよく水洗いして水気を切る。生の枝の表皮をはいで内皮を枝からはがし、細かく刻んだもの70~80g、砂糖150~200gとともに35度のホワイトリカー1.8Lに漬け込む。2ヶ月後、中身を引き上げ、漉して飲用。
根皮 根を掘り取り、根皮をはぐ。よく水洗いして細かく刻んで乾燥させた根皮300~400gを砂糖200~300gとともに35度のホワイトリカー1.8Lに漬け込む。2ヶ月後、中身を引き上げ、漉して飲用。熟成には3ヶ月以上置く。
メモ クワの葉をよく洗って日光干しにし、焙じてクワ茶にもできる。カフェインが含まれておらず、高血圧や動脈硬化によい。「クワの枝は脚気その他で手足がこわばって自由を失った時に、長く飲むと半身不随を治す」と述べたのは貝原益軒である。