今年は戌年
今年は戌年ということで、届く年賀状にも犬を書いてあるものも多く、中には力作も見られます。
犬は昔から番犬や狩猟犬などとして飼われ、
現在はアイドル犬としても広く飼われるようになっています。
その中でも特にアイドル犬として飼う人が増えているのは
未婚の単身者と高齢者だとも言われています。
そんな中で都会では仕事や家の事情で犬を飼えない人にアイドル犬を貸し出すレンタル業者もいて大盛況だということですが、いろいろと暗いニュースも多く世知辛い世の中、いやしを求めている孤独な人が多くなっていることもベースにあるのではないかなとも考えさせられます。
さて、今年は戌年ということですので、和名のはじめにイヌとついている植物を 昭和44年18版発行の「牧野新日本植物図鑑」の日本名索引から拾ってみました。
イヌアワ、イヌイ、イヌエンジュ、イヌガヤ、イヌカラマツ、イヌカンゾウ、イヌガンソク、イヌガンピ、
イヌクグ、イヌグス、イヌコウジュ、イヌゴマ、イヌコリヤナギ、イヌザクラ、イヌサフラン、
イヌザンショウ、イヌシダ、イヌシデ、イヌシュロチク、イヌショウマ、イヌシロネ、イヌスギナ、
イヌセンブリ、イヌタデ、イヌタムラソウ、イヌチャセンシダ、イヌツゲ、イヌツヅラ、イヌドクサ、
イヌナズナ、イヌノハナヒゲ、イヌノヒゲ、イヌノフグリ、イヌハギ、イヌハッカ、イヌビエ、イヌビユ、
イヌビワ、イヌブシ、イヌブナ、イヌホウズキ、イヌホタルイ、イヌマキ、イヌムギ、イヌムラサキ、
イヌムラサキシキブ、イヌヤマハッカ、イヌユズリハ、イヌヨモギ、イヌワラビ、
以上52種類の植物の名前がありました。
動物の名前が付いている植物には
あまり役に立たないとか品がないとかという意味で付けられたものが多くあります。
上記の牧野図鑑から拾ってみると、たとえばウマノミツバは食用になるミツバに似ていて食用とならず、馬にたべさせる程度のミツバということで名付けられたと言われます。
イヌについても同じことが言えます。
イヌザンショウはサンショウに似ているが人間にとって役にたたないことを軽蔑した名であると書かれています。
イヌビエは食用にならないヒエの意味。
イヌビワは果実がビワに似ているが、小型で品質がわるい故イヌを加えたもの。
イヌムギは麦に似ていて有用でないのでイヌムギの名が付けられた。
イヌドクサはトクサに似ているが本物ではないとの意味。
イヌエンジュは(床柱などに使用する)エンジュに似ているが品がないのでイヌと名付けた。
イヌガヤはカヤに似ていても核が苦くて食べられないからと言われる。
イヌワラビはふつうにあって利用価値のないワラビという意味。
イヌツゲはツゲに似ているが、下品でツゲのように役に立たないことによって名付けられたもの。
イヌコリヤナギは(衣類などを入れる「こうり」を作る)コリヤナギと似ているが利用価値がないからである。( )内は私の付けたしです。
いろいろと犬という名前が付けられたことを書きましたが、上記のようなことでイヌという名が付けられたということは、現在のイヌと違って昔は犬もだいぶさげすまれた存在だったことが言えると思います。中にはイヌノヒゲやイヌノフグリのように花序の姿や果実の形からユニークな名が付けられた植物もあるにはあるのですが。いろいろ調べてみるとおもしろいですね。
イヌノフグリ イヌドクサ
イヌザンショウイヌホオズキ