化女沼では絶滅した 「化女沼のヒツジグサ」
県の依頼で、化女沼治水ダムの建設に伴って影響を受ける植物の保護(特に水生植物)を
目的としての調査を、1985年から1986年にかけて行ないました。
その報告書を1987年に
「化女沼治水ダム建設工事に伴って影響を受ける植物の保護を目的とする調査報告書」
として提出しました。
その時には特記すべき植物として、コウガイモ、ミズニラ、オオトリゲモ、ガガブタなどをあげましたが
ヒツジグサは沼の周辺部全体にあるものですから、特にとりあげることもありませんでした。
1995年、再度調査し、
「古川市化女沼ダム本体完成に伴う試験湛水による植物への影響調査報告書と移植による
保全対策についての提案」
として報告書をまとめました。
その報告書では、水生植物として、ウキヤガラ、アシカキ、コバノヒルムシロ、ホソバミズヒキモ、
ジュンサイ、ヒツジグサ、ヒメビシ、ガガブタ、ミズニラ、センニンモ、トリゲモ、オオトリゲモ、
コウガイモ、フサモ、ホザキノフサモ、イヌタヌキモなど、39種類もあげることができ、
その後、池を5つ造成し、移植を行いました。
その時の一部のヒツジグサを発砲スチロールの中で育ててきました。
この写真のヒツジグサは、その時から育ててきたものです。
その後、ダム本体完成に伴う試験湛水が冬場だけで終わらず、夏近くまでかかってしまい、
すべての水草が3~4m水の中ということで、ハスをはじめ、多くの水生植物が枯死してしまい
ました。
1996年の報告書では、ミズニラやヒツジグサ、ジュンサイ、コバノヒルムシロ、ホソバヒルムシロ、
センニンモ、フサモ、ホザキノフサモなどが消滅してしまい、
確認できた水生植物は12種類だけとなりました。
この写真のヒツジグサは 化女沼に自生していた貴重なヒツジグサ ということができます。