北海道から九州の日本各地に分布し、山野や山すそに自生する多年草。未だ寒さの残る早春の雑木林などに、いち早く可憐な姿を見せる。葉は厚く、表面は淡緑色で紫色の斑紋がある。2枚の葉の間から高さ15~20cmほどの花茎を1本伸ばし、茎の先に4~5cmの淡紅紫色の花をやや下向きにつける。花弁は6枚で、開花後シクラメンのように外側に反転する。カタクリの花は気温が上昇すると開花し、温度が下がると花を閉じてしまう。花冷えのする曇りの日など、地表付近の温度が充分に上がらないと日中でも開花しない。この開閉運動は、花弁の外側と内側の細胞の成長によるものだと言われている。開花時は花弁の内側の細胞が成長し、閉じる時は外側の細胞が成長するのだろう。初夏(6月頃)になると葉を失い、地上から姿を消して長い休眠に入る。カタクリは、春の数ヶ月間、落葉樹林に差し込む日光により一年分のエネルギーを蓄える。地下の鱗茎に蓄えられた澱粉を利用し、昔は片栗粉(かたくりこ)を取った。片栗粉の名前は残っているが、現在ではジャガイモから採った澱粉を使用している。
撮影 :宮城県大崎市古川荒谷・研究所の庭 2006.4.14
※時間経過によるカタクリの花の変化(開閉の状態)を観察してみました。 |